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2024年5月15日改訂
容器包装リサイクル制度の見直しに向けた提言

改正容器包装リサイクル法において、容器包装廃棄物の排出抑制の推進、質の高い分別収集・再商品化費用の効率化推進に対する施策が実施されました。併せて我々事業者は、2006年3月に2010年度を目標年度とした「事業者による3R推進に向けた自主行動計画」を発表、紙製容器包装の薄肉化、軽量化、小型化等の包装材削減によりリデュースを推進、また、分別収集のしやすさ及び再商品化のしやすさ等によりリサイクルを推進、2015年度を目標年度とした「第2次自主行動計画」でも、続いて、削減率及び回収率の目標を達成。 2020年度を目標年度とした「第3次自主行動計画」である「自主行動計画2020」では、削減率23.5%で目標14%を達成しましたが、回収率は25.1%で目標の28%は未達となり、2025年度を目標年度とした第4次自主行動計画である「自主行動計画2025」を2021年4月発表、数値目標は削減率15%、回収率28%としました。

紙製容器包装の収集においては、主に2000年より開始された容器包装リサイクル法に基づいた指定法人ルート(以下「容リルート」という)及び従来から実施されている古紙のリサイクルルート(以下「古紙ルート」という)の二つのルートがあります。両ルートの併用により、紙製容器包装の収集に一定の成果が現れています。

容リルートでの紙製容器包装の回収量は、2000年度の1.1万トンから2003年度の約3万トンをピークに、2022年度は回収量2.0万トン(回収率3.1%)と減少傾向が続いています。 

古紙ルートでは、2005年に古紙の主要銘柄として「雑がみ」が設けられて以来、紙小物類(パンフレット、コピー紙、封筒等)と混合して紙製容器包装を収集している市町村が増加。この結果、「雑がみ」、「雑誌・雑がみ」分類で紙製容器包装が収集され、古紙ルートでの紙製容器包装の2022年度の回収量は12.9万トン(回収率19.8%)となりました(当推進協議会調査結果)。

ただし、古紙ルートでは市町村は紙製容器包装を製紙原料として収集していますが、古紙取引状況により紙製容器包装が逆有償になり資源物として収集されない場合が想定されること及び製紙原料に向かない複合紙製容器包装が収集されていないことが懸念されています。
容リルートではこの古紙ルートの状況に対応できることから、紙製容器包装の安定的収集には容リルートも有効であると考えます。

当推進協議会は容リルート、古紙ルートを併用して、紙製容器包装の回収量の増大を図るために以下のとおり提言します。

1. 紙製容器包装の収集・リサイクルの推進


提言1 紙製容器包装を収集する市町村の拡大を要望します

容リルート「紙製容器包装」分類での収集及び古紙ルート「雑がみ」分類での収集を実施する市町村の拡大を要望します。


紙製容器包装の収集は、2000年に完全施行となった容リルートと従来の古紙ルートが併用されており、紙製容器包装を効率よく収集するのに効果的であると考えています。
しかしながら、紙製容器包装の収集においては、容リルート及び古紙ルートの合計で回収量148,702トン、回収率22.9%(2022年度実績当推進協議会調査結果)となっています。

紙製容器包装は、容リルートでは「紙製容器包装」分類で、古紙ルートでは「雑がみ」「雑誌・雑がみ」分類で収集されています。
 
古紙ルートでは、紙製容器包装単独ではなく、他の紙との混合で収集されているため、一般消費者に紙製容器包装を意識してもらうには、紙製容器包装の含有量が多い分類が有効と考えています。

当推進協議会では、古紙ルート(行政収集、集団回収)での組成分析調査において、「雑がみ」分類では紙製容器包装が約40%含まれ、「雑誌・雑がみ」分類では約10%含まれるという結果を得ています。したがって、古紙ルートでは、「雑がみ」分類で収集することが紙製容器包装の収集には有効です。
当推進協議会のアンケート調査(人口10万人程度以上291市区:2022年度調査)において、紙製容器包装を何らかの形で回収している市区数は90.2%ですが、「雑がみ」分類で収集市区数は調査市区数の16.4%であり、 2022 年度の容リルート「紙製容器包装」の実施市町村数は全市町村数の8.2%と、両ルートともに実施市町村数が十分とは言えない状況にあります。

したがって、容リルート「紙製容器包装」分類での収集及び古紙ルート「雑がみ」分類での、いずれかによる収集を実施する市町村の拡大を要望します。

提言2 紙単体紙製容器包装と複合紙製容器包装の区別表示の設定を提言します

古紙ルート「雑がみ」分類で収集を実施する市町村の拡大及び紙製容器包装の回収量拡大のために、紙単体紙製容器包装(以下「紙単体」という)と複合紙製容器包装(以下「複合品」という)の区別表示の設定を提言します。

古紙ルート「雑がみ」分類では、紙識別マーク付容器包装を全て回収しておらず、紙識別マークは紙製容器包装の収集に用いられていません。区別表示の設定は、表示と収集品の整合性を図ることであり、以下の効果が期待できます。

1) 市民の分別排出しやすさの向上
古紙ルートにおいて、紙製容器包装の紙単体と複合品に同じ紙識別マークがついているため、市民は、どの紙製容器包装が収集対象に相当するのかがわかりにくく、分別排出が難しい。
そのため、家庭から排出される紙製容器包装の多くはごみとして排出されていると推察しています(家庭から排出される紙製容器包装の77.1%がごみとして排出:当推進協議会推定)。
市町村が収集対象としている紙単体と対象外の複合品に区別表示を設定することで、市民が、対象の紙製容器包装を分別排出しやすくなり市町村が紙製容器包装を資源物として分別収集する効率の向上が期待されます。

2)「雑がみ」の品質向上
古紙ルート「雑がみ」分類では、製紙原料向けの紙単体(紙箱、紙袋、包装紙等)を主に収集し、複合品は対象外としているが、現在の紙識別マークは紙単体、複合品両方についているため、混入が起こりやすいことも課題となっています。
したがって、本区別表示の設定を行うことにより収集対象外のものの混入を防止できることから、「雑がみ」の品質が向上することで、「雑がみ」収集を実施する市町村が拡大し、紙製容器包装の回収量の拡大が期待されます。

提言3 複合品の収集・リサイクルの推進を提言します

複合品も、家庭から排出される容リ法対象の紙製容器包装の約16%(約10万トン:当推進協議会調査)を占めており、固形燃料等の有効なリサイクル資源であるため、収集・リサイクルの推進を提言します。

古紙ルートでは、製紙原料向けとして紙単体の紙製容器包装を主として収集しており、原則として複合品は収集されていません。

複合品とは
複合品とは、防水加工された紙、プラスチックフィルムやアルミ箔等を貼り合わせた紙、
金・銀等の金属が箔押しされた紙等を使用した紙製容器包装であり、古紙ルート「雑がみ」の分別排出基準では、製紙原料不適合品とされています。(紙コップ、カップ麺・ヨーグルト等の紙容器、紙蓋材、アルミ付の酒パック・飲料用紙パック等)
※複合品は汚れて排出されるものを含めると約16万トン程度と推定しています。

複合品の再商品化
容リルートにおいては古紙ルートでの収集対象外である複合品も、RPF等の固形燃料や製紙原料として再商品化されており、複合品も有効な資源として利用されています。事業者としては、複合品を収集しやすくするために、複合品としてのマークを付すことにより収集推進を支援していきます。
したがって、複合品も有効なリサイクル資源であるため、収集・リサイクル推進を提言します。

プラスチック資源循環促進法及び施行令等
プラスチックから再生可能資源(紙、バイオマスプラスチック等)に適切に切り替えと「基本的な方針」として告示されており、複合品への代替が想定されますので、益々、複合品の収集・リサイクルの推進が求められます。

複合品(複合紙製容器包装)リサイクル推進WGの設置
尚、アルミを使用しない飲料用紙パック(牛乳パック等)と遜色なく製紙原料になる複合品(アルミ付の酒パック・飲料用紙パック等)については、事業者の自主的取り組みにより製紙原料へのリサイクルを行っています。
当推進協議会は、アルミ付紙パックをはじめとした複合品(複合紙製容器包装)リサイクル推進WGを2024年5月の理事会で設置を承認、製紙原料へのリサイクル推進を研究・支援する所存です。


提言4 紙製容器包装の収集拡大のための啓発を要望します

紙製容器包装(あるいは雑がみ)の収集を実施する市町村を拡大するために、紙製容器包装が有効な資源であることを市町村に啓発することを要望します

古紙ルートでは、紙製容器包装は「雑がみ」等の分類により他の紙類と混合で収集されているため、一般市民に紙製容器包装が収集対象になっており、有効な資源であることの認知が得られにくいため、当推進協議会では、紙製容器包装の分別収集・リサイクルに関するパンフレット・パネルを作成して、市町村に配布又は貸与し、紙製容器包装のリサイクル啓発の一助としてきました。
今後、当推進協議会は、古紙再生促進センター及び関係諸団体と連携して啓発に努めていく所存です。
しかしながら、紙製容器包装を収集していない市町村もあるため、紙製容器包装の収集・資源化を市町村に啓発することを要望します。

提言5 今後の制度見直

紙製容器包装全体のリサイクルシステムのあるべき姿の研究を進めます。

容リルート、古紙ルートにとらわれず、紙製容器包装全体の回収率向上を含め、リサイクルシステムのあるべき姿について検討することが必要と考えます。

2. 容器包装3R制度全体のあり方について

提言6 三者の役割分担を維持し取り組みの深化を図ります

容器包装リサイクル法における、市民・市町村・事業者の役割分担は維持すべきです。
市民が分別排出し、市町村が収集し再商品化事業者に引渡し、そのリサイクル費用を事業者が負担するという明確な役割分担が機能しており、分別収集、再商品化により家庭から排出される容器包装廃棄物が減少しているという結果となって現われています。
したがって、今後とも三者の役割分担を維持しつつ、各主体の取り組みの深化を図ることが目指すべき方向と考えます。

提言7 主体間連携の強化を図ります

合同審議会において「主体間連携の推進」の重要性が示され、事業者においては、3R推進団体連絡会の自主行動計画に基づく取り組み等、様々に展開しているところです。
しかしながら、事業者の取り組みのみでは一定の限界があるため、より一層の連携を強化することが必要と考えます。




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