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調査方法

1)調査目的
 行政収集及び集団回収における「雑誌・雑がみ」、「雑がみ」、「古紙」の組成分析を調査により、紙製容器包装の組成比率を求めることを目的とする。
市町村で行われている分別収集について、市町村ヒアリング調査、及び組成分析調査の2つの方法で行った。

2)調査方法
(1)組成分析調査方法及び分類項目
 @調査方法
  ■「雑誌・ざつ紙」の場合
  @)「雑誌・ざつ紙」の混合物から重量の最も多い「雑誌」を分別しその重量を測定した。
  A)上記分別後、下記22分類で分別し、各分類の重量を測定した。
  ■「雑がみ」の場合
  @)「雑がみ」を下記22分類で分別し、各分類の重量を測定した。

・22分類
 ≪製紙原料に向くもの≫
   1紙箱 2ティッシュ箱 3紙袋 4包装紙 5マルチパック 
   6新聞・チラシ 7雑誌 8段ボール 9アルミ無し紙容器(牛乳パックなど)
   10紙小物・ポスター他  11紙芯 12その他(製紙原料に向くもの)
 ≪製紙原料に向かないもの≫
   13洗剤箱・線香箱 14金銀箱 15複合材(飲料容器;アルミ付)
   16複合材(カップ) 17複合材(紙袋) 18複合材(紙箱、包装紙)
   19フィルム貼りの紙 20カーボン紙、シュレッダー  21その他(製紙原料に向かないもの)
   22汚れた紙製容器包装
   
  *16〜18の複合材とはプラスチックと紙を貼り合わせた紙製容器包装を云う。
  *アンダーラインを付したものは、容器包装リサイクル法の対象となる「紙製容器包装」
を示す

(2)組成分析調査対象
 @調査一覧

組成分析の実施にあたっては前もって市役所担当部署に連絡をし、組成分析実施の協力(組成分析場所の提供、古紙問屋への協力依頼)をお願いした。

 A組成分析場所選定理由
 紙製容器包装の回収方式が市区により異なっているため、各方式毎の対象市の組成分析を行った。
 紙製容器包装の回収方式は以下の方式に大別される。
 @)行政収集により「雑がみ」分類で回収
 A)行政収集により「雑誌・雑がみ」分類で回収
 B)集団回収により「雑がみ」分類で回収
 C)集団回収により「雑誌・雑がみ」分類で回収
  行政収集と集団回収を併用している市では、両者の方式の組成分析調査を実施した。

2011年までの組成分析調査のうち、2008年から2010年までは集団回収の調査を実施し、他は行政収集の組成分析を中心に調査を実施してきた。特に2011年からは行政収集における「雑誌・雑がみ」を調査し、途中2回の行政収集の「雑がみ」を挟み2015年まで継続して調査した。以降は集団回収や「古紙」の調査を実施したのち、2018年からは行政収集の「雑誌・雑がみ」の調査を実施した。

調査結果

(1)紙製容器包装の占める割合
本調査での行政収集と集団回収における紙製容器包装の構成比は以下のようになった。
調査市の平均値を示す

@行政収集「雑がみ」(「その他の紙」)
2012年〜2017年に3市にて行政収集「雑がみ」の組成分析を実施した。各市の組成分析結果を図1に示す。
この分類中での市中からの回収物に占める紙製容器包装の割合は、3市の平均で40.4%となった。紙製容器包装の内訳では紙単体(紙箱、包装紙、紙袋、マルチパック)は38.2%、複合品(液体紙容器、紙カップ、洗剤箱など)は2.2%となった。

A行政収集「雑誌・雑がみ」
2012年〜2019年に7市にて行政収集「雑誌・雑がみ」の組成分析を実施した。各市の組成分析の結果を図2示す。
この分類中での市中からの回収物に占める紙製容器包装の割合は、7市平均で12.9%となった。紙製容器包装の内訳では、紙単体(紙箱、包装紙、紙袋、マルチパック)は12.2%、複合品(液体紙-容器、紙カップ、洗剤箱)は0.7%となった。
本分類中では、雑誌がもっとも多く55.5%を占めている。

B行政収集「古紙」
2017年に1市にて行政収集「古紙」の組成分析を実施した。
各市の組成分析結果を図3に示す。
この分類中での市中からの回収物に占める紙製容器包装の割合は、3.8%となった。紙製容器包装の内訳では紙単体(紙箱、包装紙、紙袋、マルチパック)は3.6%、複合品(液体紙容器、紙カップ、洗剤箱)は0.2%となった。

C集団回収「雑誌・雑がみ」、他(「ダンボール」)
2016年に集団回収「雑誌・雑がみ」を1市、集団回収「ダンボール」を1市の組成分析を実施した。各市の組成分析の結果を図4に示す。
「雑誌・雑がみ」の市では市中からの回収物に占める紙製容器包装の割合は、5.4%となり、その内訳では、紙単体(紙箱、包装紙、紙袋、マルチパック)は5.2%、複合品(液体紙容器、紙カップ、洗剤箱)は0.2%となった。本分類中では、雑誌が65.6%を占めている。
「ダンボール」の市では市中からの回収物に占める紙製容器包装の割合は、18.5%となり、その内訳では、紙単体(紙箱、包装紙、紙袋、マルチパック)は18.0%、複合品(液体紙容器、紙カップ、洗剤箱)は0.5%となった。本分類中では、ダンボールが全体の3/4以上の77.0%を占めている。



網掛けした品目が、各分類の収集対象物。他は、他の回収分類品目及び禁忌品の混入等

@雑がみ回収
行政収集での対象収集物(紙製容器包装+紙小物。ポスター等)は63%、集団回収での対象収集物は68%であり、他分類からの混入(雑誌、新聞チラシ、段ボール、飲料用紙容器(AL無))は、行政33%、集団30%であり、禁忌品は、行政4.2%、集団4.6%、異物など不適合物は行政3.8%、集団2.7%となった。行政、集団ともほぼ同等の構成比である。

A雑誌・雑がみ回収
行政収集での対象収集物(雑誌+紙製容器包装+紙小物。ポスター等)は、85%、集団回収での対象収集物は91%となった。他分類からの混入(新聞チラシ、段ボール、飲料用紙容器(AL無))は、行政14% 集団9%であり、禁忌品は、行政1.5% 集団0.8%、異物などの不適合物は行政0.6%、集団0.6%となった。
集団回収の方が、対象収集物の割合がやや高く、他分類の混入が少ない。

B製紙原料に向くものとしては雑がみ分類では、行政・集団共に94〜95%、雑誌・雑がみ分類では約99%と高い比率で構成されている。

3)まとめ
・「雑がみ」分類で製紙原料に向く紙製容器包装が40%を占めていることから、本方法は紙製容器包装の回収方法として有効である。

・製紙原料不適な物として、紙製容器包装の複合品(禁忌品)が「雑がみ」回収で全体構成中に5〜6%混入している。製紙原料にリサイクルする工程で異物として除去されているが、混入低減が今後の課題となる。

・雑がみを雑誌と一緒に回収する「雑誌・雑がみ」分類では、製紙原料に向くものの構成
 比が99%と向上する。紙製容器包装の回収は「雑誌・雑がみ」分類では「雑がみ」分
 類より低下する傾向にある。






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